秋は「咳」が増える季節
朝晩がぐっと冷え込むようになってきました。この時期、「風邪は治ったのに咳だけ残っている」「夜になると咳きこむ」という声を薬局でもよく耳にします。
実は秋は、ぜんそくの症状が出やすい季節としても知られています。夏から秋にかけてダニが増え、その死がいやフンがほこりとして舞いやすくなることに加え、気温差や台風による気圧の変化も、気道(空気の通り道)に負担をかけると考えられています。
秋に咳が出やすくなる理由
① 寒暖差と空気の乾燥
冷たい空気や乾いた空気を吸いこむと、気道が刺激されて咳が出やすくなるとされています。昼と夜の気温差が大きい秋は、特に注意したい時期です。
② ダニ・ほこり
ダニは夏に増え、秋にかけて死がいやフンが増えていきます。これらはぜんそくやアレルギーの原因(アレルゲン)になりやすいといわれています。夏の間しまっていた布団や毛布を出すときも、ほこりを吸いこみやすいタイミングです。
③ 台風・気圧の変化
台風が近づくなど気圧が大きく変化するときに、ぜんそく発作が起こりやすくなるという報告もあります。
④ 秋の花粉
ブタクサやヨモギなど、秋に飛ぶ花粉が咳やくしゃみの原因になることもあります。
「長引く咳」で気をつけたいこと
風邪のあとの咳は、多くの場合2〜3週間ほどで落ち着いていくとされています。一方で、3週間以上続く咳は、風邪以外の原因が隠れていることもあります。
- 咳ぜんそく:ゼーゼー・ヒューヒューという音はないが、乾いた咳が長く続く
- ぜんそく:息苦しさや、ゼーゼー・ヒューヒューという音をともなう
- アレルギー性の咳:季節やほこりなど、特定の環境で出やすい
- お薬の副作用:一部の血圧の薬などで、咳が出ることがあるとされています
- その他の病気:結核や肺の病気など
特に、咳ぜんそくは放っておくとぜんそくに移行することがあるともいわれています。「ただの咳だから」と我慢しすぎず、長引く場合は医療機関を受診しましょう。
市販の咳止めを使うときの注意
市販の咳止めは、一時的に症状をやわらげるためのものです。
- 5〜6日使っても良くならない場合は、使用を中止して受診しましょう
- ぜんそくの持病がある方は、自己判断で市販薬を使う前に医師・薬剤師に相談を
- 眠くなる成分を含むものもあるため、車の運転には注意が必要です
- 処方されたお薬を飲んでいる方は、成分が重なることがあるので、購入時に薬剤師へお声がけください
ぜんそくの吸入薬、正しく使えていますか?
ぜんそくの治療では、吸入薬がよく使われます。飲み薬と違って、気道に直接お薬を届けられるのが特長です。ただし、吸い方が正しくないと、お薬が十分に届かないことがあるといわれています。
吸入薬の主な種類
| 種類 | 特徴 | |------|------| | ドライパウダー(粉)タイプ | 自分の吸う力でお薬を吸いこむ。「速く・深く」吸うのがポイント | | エアゾール(スプレー)タイプ | ボタンを押すと霧状のお薬が出る。押すタイミングと吸うタイミングを合わせるのがポイント | | ソフトミストタイプ | ゆっくり出る霧を「ゆっくり・深く」吸いこむ |
種類によって吸い方のコツが違うため、自分のお薬がどのタイプかを知っておくことが大切です。
うまく吸うための共通のコツ
- 吸う前に、一度しっかり息を吐ききる(吸入口に息を吹きかけないよう注意)
- 吸ったあとは、数秒ほど息を止めてお薬を気道にとどめる
- 吸入後はうがいをする(声がれや口の中のトラブルを防ぐため)
- 吸入口は乾いた布などで拭き、清潔に保つ
「調子がいいからやめる」は要注意
ぜんそくの吸入薬には、発作をおさえるための薬と、**毎日使って発作を起こりにくくする薬(予防の薬)**があります。
予防の薬は、症状が落ち着いていても続けることが大切とされています。「最近咳が出ないから」と自己判断でやめてしまうと、気道の炎症がぶり返すこともあります。減らしたい・やめたいと思ったときは、必ず医師に相談しましょう。
今日からできる、咳・ぜんそく対策
① 布団や部屋のダニ・ほこり対策
布団はこまめに干すか乾燥機を使い、掃除機をかけましょう。しまっていた毛布や冬物は、使う前に洗濯や掃除機がけをしておくと安心です。
② 部屋の湿度を保つ
加湿器などで、湿度を50〜60%程度に保つのがよいとされています。加湿しすぎるとダニやカビが増えやすくなるので、湿度計を目安にしましょう。
③ 首元を温める
マスクやスカーフで、冷たい空気を直接吸いこまない工夫も効果的です。特に朝晩の外出時には意識してみてください。
④ インフルエンザ・コロナの予防接種
ぜんそくの持病がある方は、感染症をきっかけに症状が悪化することがあるため、予防接種がすすめられています。かかりつけ医にご相談ください。
こんなときはすぐに受診を
次のような場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
- 息苦しくて横になれない、話すのがつらい
- 唇や爪の色が紫っぽい
- 発作をおさえる吸入薬を使っても良くならない
- 高い熱が続く、色のついた痰が出る
- 3週間以上咳が続いている
- 血の混じった痰が出る
あしだ薬局からひとこと
吸入薬は「正しく吸えているか」がとても大切なお薬です。「長く使っているけど、吸い方に自信がない」「新しい吸入器に変わって使い方が不安」という方は、ぜひお持ちになって薬局でお声がけください。実際に吸入器を使いながら、一緒に確認させていただきます。咳が長引いてつらいときも、どうぞお気軽にご相談ください。
あしだ薬局 薬剤師