寒暖差が大きくなるこれからの季節に
10月も終わりに近づき、朝晩はぐっと冷え込むようになってきました。暖房を使い始めたご家庭も多いのではないでしょうか。
この時期から冬にかけて気をつけたいのが、**「ヒートショック」**です。暖かい部屋から寒い脱衣所・浴室・トイレへ移動したときなど、急な温度の変化によって血圧が大きく上下し、体に負担がかかることをいいます。
入浴中の事故は、冬場(11月〜3月ごろ)に多くなるとされています。本格的な寒さが来る前に、ご家庭の環境や入浴の習慣を見直してみませんか。
ヒートショックはなぜ起こる?
温度差で血圧が「乱高下」する
寒い場所に行くと、体は熱を逃がさないように血管をきゅっと縮めます。そのため血圧が上がります。その後、熱いお湯につかると今度は血管が広がり、血圧が急に下がることがあります。
このように短い時間で血圧が大きく変わると、
- めまい・立ちくらみ
- 意識がぼんやりする、気が遠くなる
- 心臓や脳の血管への負担
などにつながるおそれがあるといわれています。浴槽の中で意識を失うと、おぼれてしまう危険もあります。
起こりやすい場所
- 脱衣所・浴室(服を脱いで寒い場所に出る→熱いお湯につかる)
- トイレ(暖房がなく冷えやすい、いきむことで血圧が変動しやすい)
- 冬の朝、布団から出たとき
特に注意したい方
次のような方は、ヒートショックの影響を受けやすいとされています。
- 65歳以上の方
- 高血圧・糖尿病・脂質異常症・不整脈などの持病がある方
- 肥満気味の方
- 熱いお風呂(42℃以上)や長湯が好きな方
- 一番風呂に入ることが多い方(浴室が温まっていないため)
- 飲酒後に入浴する習慣がある方
- ひとり暮らしの方
ご自身だけでなく、離れて暮らすご両親やご家族にも、ぜひ伝えていただきたい内容です。
今日からできる予防のポイント
① 脱衣所・浴室を暖めておく
- 脱衣所に小型の暖房器具を置く(火の元・転倒には注意)
- 入浴前に、シャワーで浴槽にお湯をためる、または浴槽のふたを開けておくと、湯気で浴室が暖まりやすくなります
- 家族の中で、お年寄りが一番風呂にならないよう順番を工夫するのもひとつの方法です
② お湯の温度は「41℃以下」、つかるのは「10分まで」が目安
消費者庁などでは、湯温は41℃以下、湯につかる時間は10分までを目安にすることがすすめられています。熱いお湯が好きな方も、少しだけぬるめを意識してみてください。
③ 入浴前後のちょっとした工夫
- いきなり湯船に入らず、手足からかけ湯をして体を慣らす
- 湯船から出るときは、ゆっくり立ち上がる(急に立つと立ちくらみが起こりやすい)
- 入浴前後にコップ1杯程度の水分をとる
- 食後すぐ・飲酒後・睡眠薬を飲んだ後の入浴は控える
- 入浴前に家族に**「今からお風呂に入るね」とひと声**かける
④ トイレ・寝室の寒さ対策も
トイレに小型の暖房や暖かい便座を使う、朝起きたらすぐに上着をはおる、などの工夫も効果的とされています。
お薬を飲んでいる方が気をつけたいこと
血圧のお薬を飲んでいる方
血圧を下げるお薬を飲んでいる方は、入浴で血管が広がったときに、血圧が下がりすぎてふらつくことがあるといわれています。お風呂上がりにめまいや立ちくらみを感じやすい方は、医師や薬剤師に相談してみましょう。
なお、寒くなると血圧が上がりやすくなるため、冬は血圧の数値が変わることがあります。家庭で血圧を測っている方は、記録をつけて受診のときに見せていただくと、お薬の調整に役立ちます。
睡眠薬・安定剤・一部のかぜ薬など
眠気やふらつきが出やすいお薬を飲んだ後の入浴は、転倒やおぼれる事故につながるおそれがあります。飲むタイミングと入浴の順番を見直してみましょう。
糖尿病のお薬を飲んでいる方
お薬の種類によっては、食事をとらずに入浴したり長湯をしたりすると、低血糖のような症状が出ることもあるといわれています。気になる方はご相談ください。
ご自身の判断でお薬を減らしたり、やめたりするのは避けましょう。 気になることがあれば、まずは医師・薬剤師にご相談ください。
こんな症状が出たらすぐに対応を
入浴中や入浴後に、次のような様子が見られたら、ためらわずに119番しましょう。
- 呼びかけても反応がない、ぐったりしている
- 片側の手足に力が入らない、ろれつが回らない
- 激しい頭痛や胸の痛みを訴える
浴槽の中でぐったりしている場合は、まずお湯の栓を抜き、可能であれば顔を水面から出して助けを呼びましょう。
あしだ薬局からひとこと
ヒートショックは、ちょっとした工夫で防ぎやすくなるといわれています。「血圧の薬を飲んでいるけど、お風呂はいつ入ればいい?」「寝る前の薬と入浴の順番は大丈夫?」など、気になることがあれば、どうぞお気軽に薬局でお声がけください。お薬手帳をお持ちいただければ、飲んでいるお薬に合わせてアドバイスいたします。寒い季節を、ご家族そろって元気に過ごしましょう。
あしだ薬局 薬剤師